「3Dプリンター業界の需要でなく供給サイドを変えていきたい」吉田 賢造/株式会社スマメ【前編】

5人の株式会社が、STLという3Dプリンター専用のコワーキングスペースに入居して3ヶ月が経ちました。

>>「コワーキングスペースSTL」の詳細についてはこちら。

3dnews.3day-printer.com

そこで、STLの恵まれた場所とコネを活かしてインタビュー企画に挑戦したいと思います。記念すべき第一回目は、株式会社スマメ代表の吉田 賢造さんにお話をお伺いしました。

 

STL内にてお茶を飲みながらリラックスして話す企画。
今回は、「3Dプリンター業界では知る人ぞ知る吉田さん」に、3Dプリンターの現状や課題について語って頂きました。少し長いので、前編・後編と分けてお届けします。

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吉田 賢造  プロフィール

株式会社スマメ 代表取締役社長

3Dプリントサービスのビジネス構築、機械の販売、3Dプリンターのレンタルサービス、プリント代理、3Dプリント事業者へのコンサルタント、シェアオフィスの運営などを従事。

DMM時代の取り組みや武勇伝は、以下のページから確認していただければと。

DMM、秋葉原に5億円の機材をそろえたモノ作りの“秘密基地”–スタートアップを支援 – CNET Japan

 

最初は、3Dプリンターの販売代理からスタート

X人の株式会社(以下、X人):では、早速始めさせていただきますー。ありきたりな質問なんですが、自己紹介や今までの経緯について教えて下さい。

吉田 賢造(以下、吉田):最初は、沖縄で2Dのプリンターの販売の営業をしてました。3Dプリンターを知ったのは、たまたま何かのテレビで見たのがきっかけかな?

その後、東京に来ることになって、アニキが起業している会社で一緒に働いていたのね。けど、結局そりが合わなくて、2ヶ月で辞めることになった。

X人:兄弟で起業ってなかなかレアですね。

吉田:そこで学んだ教訓は、兄弟で起業(仕事)はしちゃダメだってことかな!

その後、1ヶ月位ブラブラ遊んでいて、「転職するか〜」といろんな会社を見てたのね。ちょうど、3Dプリンターの販売会社が求人募集を出してたので、そこに応募した感じかな。たまたまなんだけど、就職先は前にテレビで見た3Dプリンターを売ってた会社だった。

X人:吉田さんの最初の3Dプリンター業務は販売会社の営業だったのは意外ですね。知らなかったです。

吉田:3Dプリンターのブームがくる7年前だったので、全然知ってる人も少なかった。売り先には、「3Dプリンターとはなんぞや?」ところから始まって説明してたね。そんときの3Dプリンターは、ただのマニアックな機械だった。

営業としては、展示会に出したり、東京の歯科医院に対して飛び込み営業もしたりしてた。飛び込み営業で、数百万円の商材が売れるのね。飛び込み数の1%位は成約取れたね。あれは異常だったよ。

X人:おおー、飛び込み営業で1%は凄いです!

 

独立のきっかけは、『日本版のShapeways』を作りたいと考えた。

吉田:そのうち、3Dプリンターの販売会社が増えてきて、販売以外のことがしたくなった。日本の産業だと装置産業が強くて補助金とかで機材買うんだけど、海外だとアイマテ(i.materialise)やShapewaysのような機材を買わなくても3Dプリントできるサービスが流行ってきだした。

それで、機械を持たない会社でもネットで3Dプリントを依頼できるような「日本版Shapeways」のようなサービスを作りたいなーと思って、株式会社スマメとして独立したって感じです。

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仕事を通じて、3Dプリンターの価値を届けたい

X人:全体を通じて、取り組みのテーマはありますか?

吉田:基本的に、“3Dプリンターの価値を届けたい!”というのがあるかな。

3Dプリンターを売りたいのではなく、3Dプリンターがあったら便利じゃね?意外と使えんじゃん、なんか面白いじゃん。っていうのを人に届けたい。

3Dプリンターって少し詳しくなると分かるんだけど、(他の製造機と比べて)意外とダメなところがある。メディアだと”なんでも作れる”って書いてるけど、他の射出成形や切削と比べるとデメリットが多い。

だけど、勿論3Dプリンターにも良いところがあるから、それを伝えるというのがメインかな。

X人:なるほどです。

吉田:3Dプリンターの本質を届けるようにしたいかも。知っての通り、3Dプリンターって別名でラピットプロトタイプマシーンと呼ばれてるけど、元々は試作機なんだよね。

ただ、現状のネットプリントだとどうしても届くのが遅いから、お客さんの手元に機材を配りたいな〜というのを今考えています。

医療と3Dプリンターは相性が良い。

X人:3Dプリンターの用途としての活用としてはどうですか?

吉田:分野で言うと、医療と3Dプリントは超親和性ある。実は、自分は医療方面が1番得意という。医療系の論文も手伝ったりしてた。

最近だと、3Dプリンター機材と材料をレンタルする*サービスを出したけど、あれも医療向けのサービスなんだよね。そっちの方面からも問い合わせもあります。

*サービスサイト  産業用3Dプリンターの月額利用サービスが登場。プロ品質の造形を1ヶ月から利用可能。 | 3D NEWS

X人:確かにあのサービスは研究で忙しい繁忙期にこそ使いたいですね。機材を購入しなくても高速で研究の3Dプリントを高速で回せるサービスですね。

吉田:研究だと使いたい時期がまちまちだから、時期に合わせてピンポイントで手元に3Dプリンターがあれば良いかなと。

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需要があっても供給が変わらないと合わない。

X人:今の業界についてお伺いします。僕らは2年目の会社なのであれなんですが、、、(笑)プレイヤーって大きく変わってないイメージを持っています。業界の動向に関してはどのような印象ですか?

吉田:人の流通は確かに変わってない。まだムラ社会かも知れない。ヒト・モノ・カネでいうと、カネは着実に上がってきているイメージ。表面的には、一時のブームが過ぎたから下がったように見えるけど、ボトムとしては年々上がってきていて、点線で結ぶと上がってると思う。

X人:今後の更なる成長を遂げるには、どの部分が大事なんですか?

吉田:こういう業界って根本が大事だと思ってて、根本に大きなイノベーティブが起きれば、業界は大きく変わるのかなと。個人的には供給側の方がすごく大事かなと思う。

X人:なるほどです。ただ、そこに関して言うとウチと考え方が違いますね。ウチは需要サイドが大事かなと思っていたのですが?

吉田:両方大事だけど、需要があっても供給が変わらないと合わない。極端な話だと、メーカーが30%安くできれば、エンドユーザーにもかなり低価格で提供できる。需要サイドよりも供給サイドの動きを変えればサービス側もやりやすいかな。もっと根本的に大事なのは業界の根元のほうかと。

X人:なるほど。そうなんですね!ありがとうございます。

後半記事はこちら!

「3Dプリンターはマジョリティーじゃなくマイノリティーにヒットする」吉田 賢造/株式会社スマメ【後半】

 

そんな素晴らしい話が聞ける場所は、浜松町のSTLというコワーキングスペース。ちなみに、吉田さんは弊社スペースの2mくらい後ろで仕事をしています。

見学は自由ですので、是非お越しください!

また、引き続き会員も募集しているので、ご入居希望の方はご連絡をお願いします。

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