3Dプリンター事業者に話を聞こうシリーズ
朝倉 雅文 プロフィール
株式会社カブク執行役員。みずほ銀行、リクルートキャリア海外経営企画、シンガポールで2社代表取締役社長を経てカブクに参画。 経営企画部にてファイナンス、事業戦略、アライアンス、人事、法務等管理部門全般を担当。
ちなみに、朝倉さんは、小栗旬出演のリッチマン、プアウーマンというドラマの副社長(左の人)っぽいと評判です。 名前も朝比奈なので、少し似てます。
ものづくりのファイナンスについて
X人:朝倉さんは、以前はみずほ銀行にいて、今はカブクの執行役員として財務、経営企画、人事等、管理部門全般を担当しているんですよね。そこで今回、モノづくりにおけるファイナンスについてお話をお伺いしたいと思います。
個人的に、モノづくり系の会社ってなかなかファイナンス周りのニュースって少ないと感じるのですが、そこらへんはどういった見解でしょうか?
朝倉:そうですね。ITと違って、モノづくりが関わる場合のファイナンスはITのロジックがそのまま適用できるわけではないという観点では難しいですね。ものづくりはIT系、インターネット系ビジネスの様に、指数関数的にスケールし辛いという特徴があります。ただ、ものづくりの市場は日本でも100兆円を超え、世界的にも1,000兆円を超える非常に大きな市場が拡がっています。3Dプリンターにしても、物理的にモノを作っていくので、インターネットの広がり方とは、またちょっと違った部分があります。
日本はものづくりに勝機が?
朝倉:やっぱりファイナンス面でも盛り上がっていってくれたら良いなと思ってます。なぜかというと、日本はもちろん、アメリカやドイツをはじめ、世界的な大きなうねりが起き始めている第四次産業革命の文脈において欠かせない要素だと考えているからです。
インターネット 関連の分野では、先にGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)によって市場が占有されており、デファクトスタンダードになっています。しかし、第四次産業革命の要素でもあるインダストリアルIoT(産業向けIoT)の領域は、3Dプリンターを含めて日本やドイツが巻き返せるし、現場のものづくり力が強く、数多くのメーカーを有する日本が主導権を取る事を狙っていける領域だと考えています。
3Dプリンターは個人よりも、まず法人
X人:個人よりも法人ですか?
朝倉:個人は時間がかかると思います。潜在的な顧客ニーズはShapewaysを見ていても、やはりまだ時間が少しかかると思います。
何事も順番があると思っています。プリンターもパソコンも、最初は国が支援して、大企業がIBMのスーパーコンピューターみたいなのを導入して、それを中小の会社も使うようになってきて、それから個人用にパーソナルコンピューターも出てきて普及してきた流れがあります。その過去の潮流を見ても、民間サイドから個人に流れると思います。
朝倉:Shapewaysは欧米系ユーザーの方が多く、日本語対応していないので日本ユーザーが少ない、カブクのRinkak marketplaceは、日本を中心とするアジア圏のユーザーの方に多くご利用頂いております。
2社の代表取締役社長を経てカブク社に
朝倉:はい。仕事のキャリアでは、最初はみずほ銀行に新卒で入行し法人融資を担当しておりました。入行理由は経営における人、物、金における金の側面を抑えておきたいと考えた次第です。また、当時総資産世界第一位であり、シンプルに世界レベルの環境で働きたいという考えもありました。
朝倉:そこからリクルートのHR部門であるリクルートエイブリック(現リクルートキャリア)でリクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザーを担当し、システム部門、経営企画部、グローバル経営企画で、シンガポール、中国・インド・ベトナム等、東南アジアを中心にサンフランシスコの会社からのシステムの導入でボストン、ニューヨーク等、グローバルでのプロジェクトマネジメントを担当しておりました。
リクルートキャリア卒業後はシンガポールで2社代表取締役社長を経験。インドネシア、タイの法人設立や中国でのM&Aに関わり、スペイン・アイルランド・中国・インド・ミャンマー・フィリピン・マレーシア・シンガポールのメンバーと働きました。
朝倉:その後、カブクに参画し現在に至ります。カブクでも採用に関しては私が入社してからエストニア、スウェーデン、ドイツ、アメリカ、中国等、世界中の優秀な人材を採用しております。
※朝倉さんの過去の記事はこちら
カブク社に入った経緯
X人:朝倉さんは、最近、執行役員に就任しましたが、主な仕事は何をやっているんですか?
朝倉:基本的に職掌にとらわれず、ステークホルダーである株主、顧客、従業員に貢献できる事はなんでもやっています。 カブクはエンジニアサイド、ビジネスサイド共にタレントが揃っているので、中にいるタレントが、いかに気持ちよく活躍できる環境を整えるのかが経営の要諦かと思っています。
経営企画部としては中長期事業戦略の策定、年次、月次決算から、人事制度設計や法務、総務、マーケティング等幅広く対応しておりますが、そういった様々な方面から現場をサポートしていくことで、より事業を伸ばしていく感じです。
朝倉:また、私は2016年12月まではRinkak marketplaceや海外事業を担当しておりましたが、2017年1月のタイミングでメンバーに引き継いでおります。新しい事業や部署を創り出し、次にメンバーを育て上げ引き継いでいき、自分は次の新しい仕事を創り出すというスタンスでカブクの仕事に取り組んでおります。あと、備品の発注が得意です。
X人:代表の稲田さんの悪口ってありますか?
朝倉:いや、本当にないですね。強いていうなら、経営は基本ボトムアップ型なんですが、もう少しトップダウンでもいいと思います。そのぐらい、稲田は従業員主体で考えており、さらに実践している為メンバーにとっては本当に働きやすい代表取締役です。カブクがここまで伸びてきたのは、ひとえに代表の稲田の人徳とビジョンあってこそだと感じております。
カブク社の採用基準は?
朝倉:あと、テラモーターズの徳重社長を僕は非常に意識しています。ハードウェアスタートアップとして日本を代表する一社だと感じてます。シリコンバレーでの経験がある中、インターネットでなく、EV(電動バイク)のようなハード寄りにいくところが凄いです。今はドローン事業をやっていて、ハードの領域をスタートアップで且つガチンコでやっているのは本当に凄いと思います。
隠れX人の株式会社ファン?
マーケットを大きくしたい!
やはり成熟していない市場なので、市場を認知してもらうのが先かと思います。マーケットが認知されると、それが後からスタンダードなカタチになります。
この考え方は自分の経験が元になっています。以前リクルートキャリアにいた時に、転職市場における第二新卒のマーケットの立ち上げを行いました。当時、20代の転職は普及しておらず、「早期の転職は、けしからん!」のような暗黙の風潮がありました。
しかし、リクルートグループには、ヒトの生き方とか人生のオプションは沢山あって然るべきという考えがありました。そして、第二新卒というマーケットを大きくしていった結果、現在、人材業界はものすごく盛り上がってきたと感じております。
インタビューまとめ
- モノづくりが関わると、ムーアの法則がインターネット業界のようには適用しないのでスケールの仕方が新しい
- 日本のスタートアップのマーケットはアメリカや中国と比較するとまだ小さいので大きくしていきたい
- 3Dプリンターは個人よりもまず法人への流れがくる
- カブクにはグローバルなタレントが揃っている
- マーケットを大きくするには、まず認知が優先
- 業界は、いい意味での競争が大事
最後に
朝倉さんからは、okuyukiのようなイケイケ感を感じました。
執行役員にもなられて、今後のカブク社での活躍に期待です。カブク社は、採用活動にも力を入れているので、「われこそは!」という方は是非朝倉さんまで連絡してみてください。
今回インタビューのために朝倉さんにもお越しいただいたのは浜松町のSTLオフィス。今年の1月をもって「DMM.make 3D PRINT TOKYO Factory」になりました。
引き続き、取材企画はダラダラと続けていきます。オフィス見学もお気軽にお越しください。
おまけ
朝倉さんがシンガポールで、勉強になったのは、居酒屋で出されたレモンをかける時の気配りだそうです。
勝手にレモンをかけて怒られ、個人ではなく全体最適を優先させることの大切さを学んだとのこと。今は全員の同意を確認してからレモンをかけるそうです。
そんなカブク社に次ぐスタートアップは?
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<運営元情報>
株式会社メルタは、3D事業に特化した会社です。
3Dデータ作成のモデリーや、3Dプリントの3Dayプリンターなどのサービスを運営しています。ライターの仕事も受け付けます。