3Dプリンターでよく使われる樹脂素材について
今や世界的に有名でみなさんの生活の”当たり前”になるまであともう一歩の3Dプリンター。家庭用の3Dプリンターは、Fabcafeや工作スペースなどの様々な場所でよく見られるようになりました。
家庭用3Dプリンターだと、ABS樹脂とPLA樹脂の素材がメインで使われますが、2つの素材は何が違うのか?今回は、3Dプリンタでものを作る際の元となる素材である“樹脂”について焦点を当ててみましょう。
造形方法は、FDM方式(熱溶解積層方式)
3Dプリンタの素材となる樹脂には一体どのようなものがあるのでしょうか。
通常みなさまが使う3Dプリンタは、“熱溶解積層方式”という仕組みで作られます。
>>熱溶解積層法の仕組みについては、過去記事をどうぞ!
3Dプリンターの原理って?FDM造形の仕組みについて迫ってみる。 | 3D NEWS
熱溶解積層方式とは先端のノズル部分のヒーターで樹脂を溶かし、樹脂のペンで作りたいものの輪切りを描いて、1段目からどんどん積み上げていくイメージの方式です。
その熱溶解積層方式で活躍するのが、主にABS樹脂、PLA樹脂の素材です。この二つの樹脂は熱で溶けやすい熱可塑性を持っております。先端のノズル部分で温めるとまるでペンのインクのようにドロドロに溶けて輪切りを描くことができるようになります。二つの樹脂の特徴を挙げていきましょう。
2つの樹脂の特徴
ABS樹脂
ABS樹脂は、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンからなる重合してできた樹脂です。ABS樹脂を思い浮かべるときは、レゴブロックを思い浮かべていただくと良いのではないでしょうか。
画像元、Lego | Flickr – Photo Sharing!
ABS樹脂は着色しやすいという特徴をもっています。レゴブロックも色鮮やかですよね。また、表面がツルツルしていて加工してからもとても見栄えが良い樹脂になっています。
しかし、直射日光やアルコール付着により劣化してしまう側面も持っています。
ABS樹脂まとめ
原材料:石油系原料
メリット:柔軟で耐久性が高い。表面がつるつるしている。研磨・塗装などの後加工がしやすい。
デメリット:直接日光に弱い。温度変化に弱く、表面が沿ったりする。
PLA樹脂
PLA樹脂は一言で言うと、「環境に優しい樹脂」です。
PLA樹脂の原料は、トウモロコシ、とうきび、じゃがいもなどから取れるデンプンなどから。もしも、いらなくなって捨てることがあれば、この樹脂は二酸化炭素と水に分解されていきます。地球にやさしいエコ素材になります。
▼PLA樹脂は、トウモロコシから作られる??
画像出典元:とうもろこし | Flickr – Photo Sharing!
環境に悪い物質を出さないので、扱いやすい樹脂でもあります。しかし、デメリットとして、3Dプリントした後に、やすりがけがしにくいこと、また、ABS樹脂と違って色付けがしにくいことなども挙げられます。
PLA樹脂まとめ
原材料:植物性樹脂
メリット:環境面でエコな素材。素材が反りにくい。
デメリット:60度の温度で変形するので、高温での場所での仕様に不向き。
~最後に~用途に合わせて正しい樹脂を選択しよう
一般的に使われる樹脂はこの二つの樹脂です。
片方の欠点は片方の長所であることもありましたね。使う用途や場所、環境などによって樹脂を使い分けるのが賢い3Dプリントの仕方のようです。
素材が反ったらダメか、後加工をするか、別を加える使い方をするか、、という点で素材を分けるのが良いかと思います。
他にも、家庭用の3Dプリンターだと、ナイロン製のPA樹脂なども使用され始めました。家庭用3Dプリンターの素材が増えてくると、様々な使われ方がされるのではないでしょうか?
3Dプリンタ素材の特徴を知り、用途に合わせて正しい使い方をしていきましょう。
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