世界中のメイカーを支える「Seeed Studio」という会社について

Seeed Studioという会社について

個人的に、国内で好きなものづくり企業はスマメですが、海外だとSeeed studioという会社が好きです。正確に言うと、ハードウェア系の企業ですが。

 

f:id:osic:20170304203119p:plain

会社サイト:Seeed Studio Bazaar, Boost ideas, Extend the Reach

 

すごくいい会社だなーと思っているのですが、意外とあまり周囲の人たちの知名度が高くないのでブログで紹介します。

まず、Seeedが何をやっている会社なのか、チームラボの高須さんが以下の動画で死ぬほど分かりやすく解説しているので、こちらをご覧ください。

www.youtube.com

 

Seeed Studioについての概要

  • 本社は深センで、米国支社あり。社員数は120人程度
  • 元々は、基盤やセンサーなどの受託生産を行っていた
  • Aruduino、Linkltなどのキットを販売している
  • 個人の発注したプロダクトをオープンソース化することができる(このモデルが面白い)

 

ザックリまとめると、こんな感じの会社です。

以下、重要なファクターを挙げてみます。

会社のビジョン

「メイカーが増えるとSeeedが1番喜ぶ世界になるから、メイカーを増やすように社員全員が全力で取り組んでいる」というSeeedの世界観がすごい好きで賛同しています。

一般的なものづくり企業は、顧客層が中小企業から大手企業へと移り変わっていきますが、Seeed社の場合は逆に大手企業から個人へとシフトします。Seeed社には“個人メイカーを増やす”という考えを持っているため、会社が大きく成長するにつれて、より一層、小規模生産や個人に向けたサービスに注力しようとしています

 

▼画像は、メイカーをタイプ別に分別した図。自分でプロダクトを作れるベテランメイカーからアイディアしかないドリーマーまで支援することをMISSIONとしている。

f:id:osic:20170304211314p:plain f:id:osic:20170305135959p:plain

 

メイカーに対して、小ロットの試作生産だけでなく、販売・支援までのサポートを行なっているので、日本で言えばABBALabの取り組みに近いかと思います。

 

社長のエリック・パンについて

f:id:osic:20170304224405p:plain

(画像参照元:http://type.jp/et/log/article/tks-01

 

経歴(引用元:http://type.jp/et/log/article/tks-01

Seeedstudio社長のエリックは、学生時代から電子回路、エレクトロニクス、組込みシステム、ロボティクスなどの仕事を経験し、電気技術者として経験を積んできました。学校を卒業後Intelに入社したのですが、研究者でなくてチップセットのプロダクトエンジニアに配属され、将来が見えなくて退屈し退社。

 

人柄について。高須さんの動画より引用

「社長のエリック・パンは、社員にひたすら働かせて、自分だけベンツに乗り回すような人じゃないから尊敬されているし、外人から見ても付き合う価値があると思われている」

 

この言葉で、社長の人物像って大事なんだなーと再認識しました(マジで見習わなくては!)

WEBサービスやアプリみたいに、広告・マーケティングだけで事業を伸ばしていける場合、社長がクズでも素性は分かりませんが、ものづくりだと対面するケースが多いです。

周りを見ても、信用・尊敬される人に情報や人が集まったり、取引コストも低くなったりします。

 

会社オフィスの様子

中国のメーカー企業とは思えないような、お洒落なオフィスです(やや失言ですね)

めちゃめちゃスタートアップっぽい!こころなしかサイバーエージェントVCの待ち受けに似ている気がします。

 

▼受付の壁は、白に塗った基盤を貼り付けているそうです。

f:id:osic:20170304212614p:plain

(画像参照元:http://www.smartdiys.com/blog/seeed-studio-office/

 

会社の雰囲気が分かる動画はこちら。

www.youtube.com

 

深セン

f:id:osic:20170305133633p:plain

(画像参照元:深センは、どんな街? | 深センのカラオケ情報

 

Seeed社の強みは、他工場との物理的な近さが挙げられます。

そもそも中国って、パクリ文化があるので、ものづくりに求められるスピードが段違いに速いです。

クラウドファンディングで応募したプロジェクトが成功する前に、中国の市場には先にパクリモノが流れるという有名な話もあり、日本と比べてスピードに対する意識が全然違います。(GoProのパクリモノも応募中に市場に流通したとか)

深センという場所で事業をしているのが、大きな強みなのかと思います。

オープンソース化

個人が発注したプロダクトをオープンソース化する取り組みがあります。これは、基盤の受託制作から、一部の発注リストを公開する仕組みです。

ものづくりにおいて、フルスクラッチではなくセミカスタマイズの潮流がきているので、こういったサービスは重宝されそう。

f:id:osic:20170305140459p:plain

サービスを開始した経緯は、動画内のコメントにて。

「なぜこのサービスを考えたかというと、最初にPCBを受託開発を始めた時に、すごい似たようなPCBの発注が来るなと。なぜみんなATmegaにwifiをつけたがるのか、

(略)

そこで、お客さんに「あなたの発注と似た発注があるから、あなたの発注をオープンソースにして発注リストに入れませんか?あなたのプロダクトが売れたら私たちは嬉しいし、勿論、少しですがロイヤリティも払います」

 

個人的には、受託事業を行っているうちに、気付きから新規サービスを立ち上げていくという流れが好きですね。現場やお客さんの需要をとことん知っている感じがします。

また、小笠原さんのメイカーズ進化論でも、“モジュール化”という言葉がありましたが、今後、プロダクトの製造を社内で全て完結させずに、既製品を組み立てて作り上げていく動きが多くなると思います。

 

こういったオープンソースの考えは、3Dプリンターのマーケットプレイスでも展開できそうですね。

完成品のプロダクトを売買するのではなく、”IJES”や”step”ファイルなどの3Dモデルの中間データを利用できるコミュニティがあれば面白いかと。ドローンや鉄道模型あたりはアリじゃないかなーと思います。

 

3Dプリントサービスは?

力の入れ具合がどれほどか分かりませんが、Seedは3Dプリントサービスも行なっています。

特筆すべきは、サイトのUI/UXの部分。WEBからの自動見積り方式なんですが、めちゃくちゃ使いやすいデザインなんです。

 

▼データチェック中の画面、データを入稿して見積りまで数十秒という早さ…

f:id:osic:20170305133157p:plain

▼アップ後(ちなみに、僕の胸像モデルです)

f:id:osic:20170305133201p:plain

 

素材は、アクリル、ナイロン、ステンレス、ウッドライクあたりが利用できます。

また、フルカラー石膏の素材には対応していませんし、サービス名が”ラピットプロトタイピング3Dプリンティング”とついているので、試作メインなのがわかりますね。

Rapid Prototyping 3D Printing Service – Seeed Studio Fusion

そもそも、ガチのものづくり企業がインクジェット形式のプリンターを使ってるのをあまり見たことがない。。。

 

値段は、日本国内のネットプリントと同じくらいか、やや安い程度でした。

 

最後に

長々と書いていきましたが、深センに行ったことがないので、近いうちに行かねばなーと思います。

あと、結構ネットの情報だけを見て知ったかぶりをしてます。間違いの情報があったらすみません。

 

また、動画に出てた高須さんの本も面白いので是非見てください。

f:id:osic:20170304205024p:plain

Amazon CAPTCHA

 

 

オマケ

2年前に参加した高須さんの講演会のメモみたいなのが出てきました。

情報の精度はアレなんですが、ものづくり・深センの点で学びがあると思うので、興味がある方は是非見てください。

https://www.evernote.com/l/AHC7X3r9AfdCgZNXz-4XqKEFrpNLCaJ1OdQ

 

ではでは!

 

 

■参考サイト

Seeed Studio訪問 事務所編 | その他

今、深圳のモノづくりがヤバい。中国の“Makerスター”、エリック・パンが生んだすごいエコシステム【連載:高須正和】 – エンジニアtype


画像の説明文 <運営元情報>
株式会社メルタは、3D事業に特化した会社です。
3Dデータ作成のモデリーや、3Dプリントの3Dayプリンターなどのサービスを運営しています。ライターの仕事も受け付けます。


ABOUTこの記事をかいた人

Avatar photo

株式会社メルタの代表。 1991年生まれ。高校・大学とボクシングのサンドバックに打ち込み、新卒で入ったベンチャーが半年で倒産し、未経験の3Dプリンター業界で起業。 創業当初は「3人の株式会社」という社名にして怒られていました。目新しいサービスが好きです。